黒石奈央子というカリスマの存在なしに、このブランドの熱狂は語れない。しかし、彼女のアプローチは過去のデザイナーたちとは決定的に異なる。決して雲の上の存在として君臨するのではなく、スマートフォンの画面越しに、服の着心地からサイズ選びの悩み、さらには私生活のリアルな一面までを率直にさらけ出してきた。
特にSNSやライブ配信でのコミュニケーションは、マーケティングというよりは信頼関係の構築に近い。服の長所だけでなく、「ここは少しシワになりやすい」「小柄な方はこの丈感に注意してほしい」といったデメリットすら包み隠さず伝える姿勢が、強固なファンベースを醸成した。画面の向こうにいる顧客は、服を買うと同時に、その先にあるストーリーと熱量を買っている。