火事の「鎮圧」と「鎮火」の違いとは?まだ燃えてる?消防庁基準を解説

火事の「鎮圧」と「鎮火」の違いとは?まだ燃えてる?消防庁基準を解説

火事の「鎮圧」と「鎮火」の違いとは?まだ燃えてる?消防庁基準を解説に関する気になる情報をわかりやすくまとめました。詳細を読もうことができます。

SNSやネット掲示板の火災速報スレッドでは、しばしば「もう鎮圧されたらしいから大丈夫」「近くを通ったけれど煙しか出ていない」といった書き込みが散見されます。しかし、この安易な認識こそが命を脅かす二次被害を引き起こします。

心理学では、人間が予期せぬ危機に直面した際、「自分にとって都合の悪い情報を過小評価し、正常の範囲内だと思い込もうとする」認知の偏りを正常性バイアス(Normalcy bias)と呼びます。「鎮圧=火が消えた=もう普段通り」と短絡的に解釈してしまう心理は、この正常性バイアスの典型例です。

現場周辺において警戒を緩めてはならない理由は主に3点あります。

ひとつは、無色無臭の猛毒である一酸化炭素(CO)の滞留です。鎮圧後の燻煙状態は不完全燃焼が続いている証拠であり、炎が上がっている最中よりも高濃度の一酸化炭素やシアン化水素が発生しています。風向きによっては数十メートル離れた道路にまで高濃度の有毒ガスが流れ込み、見物人がめまいや意識障害を起こす事例が報告されています。

ふたつめは、突風や酸素供給によるバックドラフト・再燃の危機です。密閉された室内でくすぶっていた火種は、消火のために窓ガラスやドアが開放された瞬間、大量の空気を取り込んで爆発的に炎を吹き返すことがあります。外見上は白煙しか見えなくても、内部は一触即発のエネルギーを孕んでいるのです。

そして3つめが、建物の構造耐力低下による突然の倒壊です。木造建築の柱や鉄骨構造の梁は、長時間の高熱に晒されることで強度が著しく低下しています。鎮圧の段階で「荷物を取りに戻ろう」と焼け跡に立ち入る行為は、命を捨てるに等しい危険行為です。

伊藤 翔太
著者

伊藤 翔太

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。