物語の冒頭、鳴海探偵事務所の地下に佇み、何者でもない謎の少年として描かれたフィリップ。彼の正体は、風都を裏で牛耳る巨大秘密結社「ミュージアム」の首領・園咲琉兵衛の末っ子にして長男である「園咲来人(そのざき らいと)」でした。彼の存在そのものが、風都に流通する生体変革ツール「ガイアメモリ」の開発基盤であり、組織にとって最も重要な中枢コアだったのです。
フィリップが持つ最大の特徴は、大脳に直接アクセスする検索空間「地球の本棚(ガイアライブラリ)」を通じて、地球上のあらゆる事象・事象記憶を閲覧・解析できる超越的能力です。彼は「キーワード検索」を行うことで、事件解決の決定的な糸口を瞬時に導き出します。しかし、この神がかり的な知性には、背筋が凍るような悲壮な背景が隠されていました。
かつて幼少期の園咲来人は、自宅地下深くに眠るガイアメモリの源泉「ガイアスペース」に転落し、物理的な肉体としてはその瞬間に完全に死亡していました。しかし、膨大な地球の記憶(ガイアメモリデータ)そのものを取り込む形で、地球の意思によって「データ人間」として奇跡的に再構築されたのです。父親である琉兵衛は、実の息子の死を悼むどころか、地球の記憶を自由に引き出せる無機質な「道具」として捉え、記憶を消去した上で組織の兵器開発拠点に監禁しました。自らの本名すら知らされず、人道を踏みにじられた監禁生活から彼を救い出したのが、私立探偵・鳴海荘吉(仮面ライダースカル)であり、その際に与えられた仮の名こそが「フィリップ」でした。