抗生剤と抗生物質の違いとは?抗菌薬との境界線や風邪に効かない真相

抗生剤と抗生物質の違いとは?抗菌薬との境界線や風邪に効かない真相

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抗菌薬は強力な薬効を持つ反面、生体への影響も小さくありません。代表的なトラブルが抗生剤副作用下痢です。抗菌薬は病原菌だけを都合よく選別して攻撃することはできず、腸内に共生している100兆個以上の善玉菌や日和見菌まで無差別に殺傷してしまいます。その結果、腸内細菌叢のバランスが崩壊し、腸粘膜の水分吸収能力が低下して軟便や水様便を引き起こすのです。整腸剤が同時に処方されるケースが多いのはこのためですが、下痢が続くからといって自己判断で抗菌薬の量を減らしたり止めたりしてはいけません。

服薬指導において薬剤師が最も厳格に念押しするのが、飲み切りが必要な理由です。抗菌薬を服用し始めると、感受性の高い細菌から順に死滅していくため、2〜3日程度で熱が下がり自覚症状が劇的に改善します。しかし、この段階では生命力の強い菌が体内にまだ生き残っています。症状が消えたからと服薬を中断すると、生き延びた菌が再び増殖を始め、今度はその薬への対抗策を身につけた耐性菌リスクの塊となって再発します。中途半端な投与は、菌に薬の弱点を学習させる格好のトレーニング期間を与えているのと同じです。

また、処方薬の正しい使い方として絶対に避けるべきなのが、「余った薬を保管しておき、次に家族が体調を崩した際に飲ませる」行為です。体重や感染部位、起因菌によって必要な薬剤の種類や投与量は綿密に計算されています。素人判断による使い回しは症状を悪化させるだけでなく、重篤なアレルギー反応(アナフィラキシーショックなど)を引き起こす引き金になり得ます。

なお、「病院に行かずにドラッグストアで買いたい」と考える生活者もいますが、結論から言えば抗生物質市販薬の有無に関して、内服薬(飲み薬)の市販品は日本国内に1種類たりとも存在しません。すべて医師の処方箋が必要な「処方箋医薬品」に指定されています。薬局で購入できるのは、軽微な化膿創に塗布するドルマイシン軟膏やテラマイシン軟膏といった外用薬(塗り薬)の一部に限られており、風邪症状や体内の感染症を市販薬の抗生剤で治すことは制度上も不可能です。

清水 千尋
著者

清水 千尋

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。