コブクロ「ここにしか咲かない花」歌詞の深層と鳩間島に宿る制作秘話

コブクロ「ここにしか咲かない花」歌詞の深層と鳩間島に宿る制作秘話

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ここにしか咲かない花の誕生秘話と真相を探る上で欠かせないのが、2005年春に放送された成海璃子出演ドラマ『瑠璃の島』との密接な連動性です。親に捨てられ、心に深いトラウマを負った少女・瑠璃(当時12歳の成海璃子氏が熱演)が、沖縄の過疎が進む孤島へ里子として引き取られ、島民との衝突と交流を経て再生していく重厚な人間ドラマでした。

タイアップ楽曲を制作するにあたり、レコード会社の会議室で台本を読むだけでは本質に迫れないと確信した小渕健太郎の制作経緯は、極めて異例かつ情熱的なものでした。小渕氏はギターを手に、ドラマのモデルとなった八重山列島の実在の島、鳩間島(沖縄が舞台)へと単身で渡航したのです。人口数十人、信号機もコンビニエンスストアもない周囲約4キロの小さな島に数日間滞在し、赤瓦の民家、強い潮風に揺れる花々、どこまでも透き通る海、そして島民が抱える過疎化という厳しい現実を五感で吸収しました。

当時のインタビュー取材や本人の回想手記によると、小渕氏は島内を歩き回りながら「なぜ人は、何もないこの島でこれほどまでに力強く根を張って生きていけるのか」を自問自答し続けたといいます。華やかな都会で居場所を見失った人間が、一見して不便極まりない孤島で自分を取り戻すプロセス。その核心に触れた瞬間、波打ち際で頭に浮かんだフレーズこそが、「ここにしか咲かない花」という言葉でした。現地の風と土を直接吸い込んだからこそ、机上の空論ではない、土の匂いと潮風が漂う言葉のリアリティが吹き込まれたのです。

山下 哲也
著者

山下 哲也

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。