小川氏の政治家としての原点は、絵に描いたようなエリート街道と、その後の極めて泥臭い挫折の連続にあります。1971年、香川県高松市の美容室を営む家庭に生まれた小川氏は、県内屈指の名門である香川県立高松高校を経て東京大学法学部を卒業。1994年に旧自治省(現在の総務省)に入省しました。
総務省官僚時代は地方税制や地方財政の現場で手腕を振るい、将来を嘱望されるキャリア官僚としての道を歩んでいました。しかし、「国民の生活を根底から変えるには政治の場に身を投じるしかない」との強い信念から、2003年に32歳で退官。地盤も資金もない状態で民主党から出馬を決断します。このとき彼を支え、共に茨の道を歩み始めたのが妻の明子さんでした。
大島新監督によるドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』(2026年公開)は、17年間にわたり小川氏とその家族を追い続けた異例の作品です。映画内では、自民党の重鎮・平井卓也氏という強大な壁に幾度も跳ね返され、落選と比例復活を繰り返しながら、自転車で選挙区を駆け巡る小川氏の焦燥や葛藤が生々しく描かれました。雨の日も頭を下げ続ける妻・明子さんや、成長する娘たちが父の挑戦を支える家族の絆は、多くの観客の胸を打ち、映画は異例のロングランヒットを記録しました。