中村俊輔と本田圭佑の不仲説の真相|南アW杯世代交代と現在の絆

中村俊輔と本田圭佑の不仲説の真相|南アW杯世代交代と現在の絆

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なぜここまで二人の不仲説が世間に根強く信じ込まれてしまったのでしょうか。そこには、当時のメディア環境とネットコミュニティの心理的力学が大きく作用していました。

南アフリカW杯当時のスポーツ新聞や週刊誌は、販売部数やページビューを伸ばすため、極端な二項対立のシナリオを求めました。「ジーコチルドレンの象徴であるベテラン中村」対「ビッグマウスで旧体制に反旗を翻す新世代の本田」という図式は、大衆が最も消費しやすいエンターテインメントだったのです。5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)や当時のブログ界隈でも、「本田派」と「俊輔派」に分かれた代理戦争が激化し、日常の何気ない練習風景の一コマやベンチでの視線の交差が、すべて「確執の証拠」として歪曲されて拡散されました。

しかし、現場を取材していた番記者たちの証言や、当時のチームメイトの振り返りを聞けば、実態は全く異なります。遠藤保仁は後に「ピッチを一歩出れば、普通に会話もしていたし、俊輔さんも圭佑の意見を聞いていた。ギスギスしていたのはメディアが作った空気」と語っています。また、中村自身も若手の台頭を排除するような狭量な人間ではなく、若き日の自分自身が中田英寿や名波浩に対して抱いていたような「突き抜ける野心」を本田の中に見ていました。ネット上に氾濫した「口も利かない」「派閥争いでチームが崩壊寸前」といった言説は、劇的な世代交代のドラマを過剰に演出した都市伝説に過ぎなかったのです。

鈴木 陽菜
著者

鈴木 陽菜

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