子宮筋腫の手術を検討するにあたり、最も知りたい疑問が「結局、総額でいくらかかるのか」という点です。子宮筋腫の手術費用は、筋腫の大きさ、発生場所(粘膜下・筋層内・漿膜下)、数、そして将来的な妊娠希望の有無によって選択される「術式」と「入院日数」に大きく左右されます。現在、標準治療として行われている主要な術式はすべて公的医療保険の適用対象となっており、窓口負担は原則3割(現役世代の場合)です。
主に行われる術式には、大きく分けて筋腫のみを切除して子宮を温存する「筋腫核出手術」と、筋腫ごと子宮をすべて摘出する「子宮全摘術」があります。それぞれの術式における総医療費(保険適用前・10割換算)および3割負担時の相場は以下のとおりです。
まず、腹部に数箇所の小さな穴を開けてカメラと処置具を挿入して行う「腹腔鏡下手術」は、傷跡が小さく術後の回復が早いため現在の主流となっています。腹腔鏡を用いた子宮全摘手術の費用や筋腫核出手術の費用は、保険診療での総医療費が約70万円〜90万円程度となります。窓口での3割負担額に換算すると約21万円〜27万円です。高度な技術を要するロボット支援下腹腔鏡手術(ダビンチ手術など)も子宮全摘術を中心に保険適用が拡大しており、総額としては腹腔鏡手術と同水準の保険点数設定となっています。
一方、巨大な筋腫や骨盤腔内に強い癒着がある場合、過去に複数回の手術歴がある場合などに選択される「開腹手術」は、手技料の保険点数自体は腹腔鏡よりもやや低く設定されています。開腹手術の費用は、総医療費が約50万円〜70万円、3割負担額では約15万円〜21万円が目安です。ただし、開腹手術は術後の創部回復や腸管機能の回復を観察するため、入院期間が腹腔鏡よりも数日長くなる傾向があり、その分の入院基本料や食費が加算されます。
さらに、筋腫が子宮の内側(子宮腔内)に突き出すように発育する粘膜下筋腫に対して行われる「子宮鏡下手術」は、腹部を切開せず膣から内視鏡を挿入して切除します。子宮鏡下手術の費用は総医療費で約30万円〜45万円、3割負担で約9万円〜14万円程度と最も抑えられます。入院期間も短く済むため、身体的・経済的負担の双方において極めて効率的な治療法です。
これらはあくまで「手術・処置・検査・投薬・保険適用の入院基本料」を合算した医療費の概算であり、後述する公的セーフティネットを利用することで、最終的な支払い額はさらに大幅に圧縮されます。