サブカルチャー界隈において「国歌を斉唱してください」と言われた際、満場一致で認知される楽曲が『鳥の詩』です。アニメ・ゲームソングの枠を超え、ひとつの文化的な象徴として君臨するに至った背景には、いくつかの必然的な要素が存在します。
最大の要因は、PCゲーム黎明期からインターネット普及期にかけて巻き起こった『AIR』の爆発的ムーブメントです。2ちゃんねる(現5ちゃんねる)の掲示板文化やFlash黄金時代と重なり、ゲームをプレイして号泣したユーザーたちが熱狂的にこの曲を語り継ぎました。ピアノのイントロが流れた瞬間に誰もが姿勢を正し、静かに聴き入るというファンの共通認識が、いつしか「国歌」という最大の賛辞へと昇華したのです。
当時、若干15歳で渡米しクラシックやゴスペルを学んでいたLiaのクリスタルボイスは、業界に凄まじい衝撃を与えました。打ち込みサウンド主体のトランス・ポップでありながら、どこか民族音楽のような郷愁と神聖さを感じさせるボーカルワークが、唯一無二の存在感を決定づけました。