建築・歴史的建造物の価値を守りながら現代の安全基準や利便性を満たすのは容易ではない。しかし、本ビルの設計思想には、格子戸や虫籠窓(むしこまど)といった京町家特有の伝統美学が巧みに落とし込まれている。一歩館内に足を踏み入れれば、表通りの喧騒とは一線を画した静寂と重厚な木組みの美しさが訪れる者を包み込む。
地下フロアから上層階に至るまで、各階には明確なストーリー性が与えられている。地下は京都の地下水脈を感じさせるモダンな茶寮と和スイーツの空間。1階と2階は、洗練された布小飾品やテキスタイルが並ぶフラッグシップストア。そして上層階には、プライベートな茶会や工芸ワークショップに使用される静かな和室サロンが配置されている。新旧が織りなす空間美は、建築ファンにとっても見逃せないスポットだ。