ニューヨークの街並みを背景に描かれたラストシーンは、日本のテレビ史に刻まれる屈指の名場面だ。富と地位こそが幸福の絶対条件だと信じて疑わなかった桜子が、すべてを投げ打って欧介のもとへ走る姿は、当時の視聴者に強烈な解放感を与えた。「たったひとつのもの」を見つけた彼女の表情には、それまでの高飛車な鎧を脱ぎ捨てた圧倒的な美しさが宿っていた。
制作陣のこだわりが詰まった撮影現場では、数々の未公開エピソードが存在する。極寒のニューヨークロケにおいて、キャスト陣は薄手の衣装で過酷な撮影に挑んでいた。感動の抱擁シーンの裏側で、二人が吐く白い息と震える手を隠しながら奇跡的な1カットを撮り直したという逸話は有名だ。妥協を許さない演出が、あの歴史的ラストカットを生み出したのである。