腸内に発生するガスの正体は、大きく2系統に分かれる。全体の約70〜80%は呼吸や飲食の際に口から飲み込んだ空気(窒素や酸素)であり、残りの20〜30%が腸内細菌が食物残渣を分解する過程で産生するガス(水素、二酸化炭素、メタンなど)だ。健康な腸管では、発生したガスの大部分が腸壁の毛細血管から血液中に吸収され、肺を経由して呼気として排出される。体外へおならとして出るのは、吸収しきれなかった余剰分に過ぎない。
それにもかかわらずおならが多い原因として日常生活で際立っているのが、無意識のうちに空気を大量に嚥下してしまう「呑気症(どんきしょう)」だ。早食いやドカ食い、炭酸飲料の多飲、ストローを使った水分補給、さらにはデスクワーク中の無意識な噛み締めや口呼吸が、胃腸へ過剰な空気を送り込む直接の引き金になる。
一方で、残る2〜3割の発酵性ガスが急増する背景には、食生活の偏りと腸内環境悪玉菌の増殖がある。肉類など高タンパク・高脂質な食品を過剰に摂取すると、消化しきれなかったタンパク質が大腸に届き、ウェルシュ菌などの悪玉菌のエサとなる。これが腐敗発酵を起こし、アンモニアや硫化水素、スカトールといった強い刺激臭を持つ有害ガスを発生させる。つまり、おならが多い理由を突き止めるには、「飲み込む空気が多すぎるのか」それとも「腸内で腐敗発酵が起きているのか」という2系統の切り分けが最初の分岐点となる。