「マブい」という言葉は、1980年代のツッパリブームや暴走族、スケバン漫画などを通じて全国的な流行語となったため、昭和のヤンキー言葉として記憶している人が大半です。しかし、言語学的な調査によると、そのルーツは江戸時代の裏社会で使われていた隠語(符牒)にまで遡ります。
江戸期の香具師(テキヤ)や盗賊、あるいは遊郭の花柳界において、「まぶ」は「本物」「正真正銘」「純度が高いこと」を意味していました。例えば、偽物ではない本物の金を「まぶ金」と呼び、心から惚れ合っている本命の相手を「間夫(まぶ)」と呼んでいた歴史があります。そこから転じて、「本物の美しさ」「極上の女」を指す隠語として「マブい」という形容詞が成立しました。
明治・大正・昭和初期の不良少年たちの間で受け継がれたこの隠語は、1970年代から80年代にかけて不良カルチャーがメディアに乗ることで爆発的に拡散しました。『積木くずし』や映画『スケバン刑事』などのヒット作を通じて、長スカートに身を包みながらも義理人情に厚い不良少女(スケバン)や、彼女たちを愛するツッパリたちの日常語として定着したのです。