小池百合子氏が「緑のたぬき」と呼ばれるようになった背景には、主に2つの要素が組み合わさっています。ひとつは視覚的な「シンボルカラー」、もうひとつは政治家としての「キャラクター性」です。
第一の要素である「緑」は、小池氏が2016年の東京都知事選に自民党の推薦を得ず単身出馬した際、徹底して活用したイメージカラーに由来します。街頭演説で聴衆に「緑のものを身につけて集まって」と呼びかけ、街区をグリーン一色に染め上げた選挙戦術は、従来の組織選挙を打破する強烈なアイコンとなりました。クールビズを推進した環境大臣時代からのパーソナルカラーでもあり、「緑=小池百合子」というパブリックイメージが完全に成立していたのです。
第二の要素が、政界を生き抜く「タヌキ」のような狡猾さと評される点です。小池氏は日本新党から始まり、新進党、自由党、保守党、自民党と所属政党を幾重にも乗り換え、時の権力者の懐に入り込んでは距離を置く卓越したバランス感覚を見せてきました。この政界を巧みに泳ぎきる姿を、政敵や野党支持者が政治用語である「古狸(海千山千の策士)」になぞらえました。丸みのある愛嬌ある風貌の裏に潜む冷徹な勝負勘と合わさり、「緑の政治家+古狸」の連想が一気に結びついたわけです。
気になる「名付け親は誰か」という点ですが、公の記者会見で特定の政治家が初めて口にした公式記録はありません。2016年夏から秋にかけて、匿名掲示板「2ちゃんねる(現5ちゃんねる)」や当時のTwitter(現X)で有権者から自然発生的に書き込まれていたフレーズが発端です。その後、2017年の「希望の党」結党に際して見せた「排除いたします」発言を契機に、週刊誌の見出しや夕刊紙の論説が好んでこの呼称を引用したことで、瞬く間に全国規模のスラングとして認知されました。