ネット上で「伝説のハプニング」ともてはやされるシーンには、大きく分けて「制作陣による緻密な計算演出」と「制御不能だった生の放送事故」の2種類が存在します。
当時活躍した放送作家の手記や関係者の証言によると、平成を代表するバラエティ番組における水着企画やドッキリの決定的瞬間の多くは、出演タレントや事務所との綿密な打ち合わせのもと、ミリ単位のカメラワークと照明計算で作られた「プロのエンターテインメント」でした。リアクションの大きさやチラリと見えるアングルは、演出意図としてコントロールされていたケースが大半を占めます。
一方で、視聴者の間で真の神回として語り継がれるのは、生放送中の突発的なアクシデントです。情報番組での女子アナウンサーの衣装ホックの外れ、中継先での強風によるスカートのめくれ、生歌披露中の衣装トラブルなど、誰も予期しなかった瞬間こそが生々しい臨場感を生みます。当時のスタジオで見せた一瞬の表情の強ばりや、とっさにカメラを引くフロアディレクターの判断といった「現場の緊迫感」が、映像の希少性を何倍にも引き上げているのです。