ハッテン場(発展場)とは、主に男性同性愛者をはじめとする男性間性交渉者(MSM: Men who have sex with men)が、恋愛関係の構築プロセスを介さずに、匿名かつ即座に性的な相手を見つけて関係を結ぶ空間を指す俗称です。かつて同性愛に対する社会的な偏見や差別が根強く、公にパートナーを探す手段が限られていた時代において、当事者同士が秘密裏に集まる一種のセーフスペースかつ出会いのインフラとして機能してきました。
言葉の由来については諸説あります。「関係を発展させる場所」という言葉が略されたという説が有力視されていますが、古くは明治・大正期の隠語に端を発し、戦後の同性愛者向け雑誌(カサブランカ、薔薇族など)の文通欄や体験談を通じて全国的に定着していきました。現在では漢字表記の「発展場」とカタカナ表記の「ハッテン場」が混在していますが、意味合いに本質的な違いはありません。一般的には、アンダーグラウンドな俗称やネットスラングとして「ハッテン場」と表記されるケースが多く見られます。
社会学やジェンダー研究の観点から見ると、発展場は単なる性交渉の場にとどまらず、社会から不可視化されていたセクシュアルマイノリティが自己のアイデンティティを確認し、同胞と偶発的に遭遇するための「孤立を防ぐ裏のコミュニティ空間」という側面も持ち合わせていました。