かさぎ屋の代名詞とも言えるのが「おはぎ(萩乃餅)」と「亀山ぜんざい」です。かさぎ屋のおはぎ人気の理由は、選び抜かれた丹波大納言小豆と、昔ながらの釜で付きっきりで炊き上げる独自の餡作りにあります。砂糖の甘味でごまかさず、小豆本来の豊かな風味と微かな渋み、そしてふっくらとした粒感を限界まで引き出すため、仕込みには惜しみない手間が注がれています。
一皿に盛られるおはぎは、粒餡(つぶあん)、漉し餡(こしあん)、きな粉の3種類。滑らかな漉し餡の内側には香ばしい粒餡が忍ばせてあるなど、食感のグラデーションが綿密に計算されています。餅米の粒感を適度に残した半殺しの仕上がりは、重たさを感じさせず、すっと喉を通る軽やかさを持っています。
一方のかさぎ屋の亀山ぜんざいは、一般的な汁気のあるぜんざいとは一線を画す濃厚な逸品です。小豆の水分を極限まで飛ばし、まるで粒餡そのものを煮詰めたかのような汁なしぜんざいの上に、注文を受けてから備長炭に近い火力で香ばしく焼き上げた角餅が二枚載せられます。焼き餅のお焦げの苦味と、濃厚な丹波大納言小豆の芳醇な甘味が口内で一体となる瞬間は、甘党でなくとも唸る完成度を誇ります。