松居一代と船越英一郎の離婚劇を振り返る上で、2017年7月に公開された一連の告発動画を抜きに語ることはできません。当時、すっぴん姿の松居が切迫した面持ちで「船越英一郎の裏の顔を暴く」とカメラに語りかけた動画は、瞬く間に数百万回再生を記録しました。ノートの記述を根拠にした不倫疑惑の提示や、健康補助器具・医薬品の暴露など、私生活の赤裸々なディテールを公衆の面前に晒す手法は、従来の芸能界における記者会見スタイルを根底から覆す破壊力を持っていました。
これに対し、船越英一郎側は代理人弁護士を通じて名誉毀損や業務妨害を理由とした法的措置に着手し、東京家庭裁判所へ離婚調停を申し立てました。ワイドショーが「世紀の泥沼戦争」と煽るなか、事態は長期化が予想されましたが、同年12月13日、第2回調停において突如として合意による調停和解が成立します。
翌12月15日に松居一代が単独で開いた緊急記者会見は、今なお人々の記憶に刻まれています。満面の笑みを浮かべ、ガッツポーズを繰り返しながら「人生の大掃除ができました!」「本当にスッキリしました!」と高らかに宣言した姿は、多くのメディアで“勝利宣言”と報じられました。しかし、法的な実態は「双方が慰謝料や財産分与を請求せず、名誉毀損等の刑事告訴・民事訴訟も取り下げる」という、極めて現実的かつ実務的な手打ちでした。互いに経済的・精神的な消耗を避けるための終戦協定だったといえます。