車の全座席におけるシートベルト着用が道路交通法第71条の3第2項によって義務付けられたのは、2008年(平成20年)6月のことです。法改正から年月が経過した現在も、運転席や助手席の着用率が99%を超えているのに対し、後部座席の扱いに関してはドライバーの間で認識の曖昧さが目立ちます。
最も誤解を生みやすい要因が、走行する道路の種別によって生じる「行政処分(違反点数)の有無」という制度設計です。道路交通法施行令の規定により、高速道路や自動車専用道路において後部座席の同乗者がシートベルトを着用していなかった場合、運転者に対して違反点数1点が付加されます。一方で、反則金(いわゆる罰金)の規定はいずれの道路でも設定されていません。
ここで着目すべきは、一般道における扱いです。後部座席シートベルト一般道罰則を法規に照らし合わせると、行政処分としての違反点数は0点、反則金も0円です。この「点数が引かれない」という事実が独り歩きし、「一般道なら法律違反ではない」という致命的な拡大解釈を生み出す温床となっています。
しかし、道路交通法が定める遵守事項として「着用義務」そのものは一般道でも厳然と存在しています。交通取り締まりの現場において点数処分が行われないのは、制度導入初期の国民生活への影響を考慮した過渡的措置の名残に過ぎず、警察官に現認されれば当然に車両を停止させられ、厳重な口頭指導・警告を受けることになります。