「アース線を繋がないとどうなるのか」という疑問に対し、電気設備の保安現場からは極めて明確な回答が寄せられています。結論から言えば、アース線を繋がない危険性と理由の核心は、家電内部の配線が傷ついて漏電した際、触れた人間自身が「アース(電気の通り道)」になってしまう点にあります。
通常、家電製品の内部は絶縁処理が施されており、外装の金属部分に電流が漏れることはありません。しかし、洗濯機のモーター振動による内部配線の摩耗、電子レンジ内部の高圧トランスの経年劣化、結露や水滴の付着によって絶縁性能が破られる「絶縁破壊」が発生します。この状態で外装ケースに触れると、濡れた皮膚を通じて数百ミリアンペアの電流が一瞬で心臓を通過し、心室細動による心停止を引き起こすリスクが生じます。
ここで多くの人が誤解しているのが、感電防止と漏電ブレーカーの仕組みです。「自宅には分電盤に漏電ブレーカーがついているからアース線がなくても落ちるはずだ」という言説がネット上で散見されますが、これは極めて危険な盲信に過ぎません。漏電ブレーカーは「回路から大地へ漏れ出た電流」を検知して作動します。アース線が繋がれていれば、漏電した瞬間に電流がアースを通って大地へ逃げるため、即座にブレーカーが落ちて電源が遮断されます。
反対にアース線がない場合、漏電していても電気の逃げ場がないため、ブレーカーは異常を検知できません。結果として、「人間が家電に触れて感電し、人間の体を伝って床へ大電流が流れた瞬間」に初めてブレーカーが落ちるという事態に陥ります。つまり、アース線を省く行為は、自分や家族の肉体を漏電センサーの身代わりに差し出すことと同義なのです。