2020年代前半に巻き起こったY2K(2000年代初頭)ブームは、クロップド丈のトップスやローライズデニムといったファッション領域から、ついに顔面の表現様式であるメイクへと完全に波及しました。なかでも平成ギャルメイクが放つ圧倒的なエネルギーは、近年のメイクトレンドであった「抜け感」「透明感」「すっぴん風」に対するアンチテーゼとして機能しています。
かつての平成ギャルメイクの特徴を振り返ると、極端にアーチを描いた細眉、骨格を無視するかのように鼻筋へ一直線に入れた白ハイライト、蛍光トーンの白リップ、そして何枚も重ね貼りした漆黒のつけまつげが象徴的でした。これらは単なる身だしなみではなく、「他者からどう見られるか」よりも「自分がどれだけ盛れているか」を極限まで追求した記号だったのです。
対して現代の令和トレンドとの決定的な違いは、「質感のコントロール」と「パーソナルカラーへの適応」にあります。当時のマットで重厚な仕上がりに対し、2026年のリバイバルでは透け感や光沢感を巧みに残す技術が主流です。原宿や渋谷の現場調査でも、当時のエッセンスを抽出しつつ、ベースメイクはみずみずしいセミマットに抑えるスタイルが圧倒的多数を占めています。