原本(げんぽん)とは、作成者の思想や確定した意思が最初に表示・固定された独立の文書を指します。署名や押印がなされた契約書のオリジナル、市役所が作成した住民基本台帳の元データ、手書きで作成された遺言書などがこれに該当します。法律上、すべての派生文書の根源となる存在です。
実務で混乱を招きやすい関連概念との差異は、以下の通り明確に定義されています。
原本と正本の違い:
正本とは、原本を作成・保管する正当な権限を持つ機関(裁判所や公証役場など)が、原本に基づいて作成し「原本と同一の効力を有する」と認めた公的文書です。例えば、裁判の「判決書原本」は裁判所に永久保存されるため、当事者には原本と同じ効力を持つ「判決正本」が交付されます。私文書の契約では基本的に正本という概念は使われず、原本そのものを当事者双方が保持します。
原本と謄本の違い:
謄本とは、原本の「内容の全部」を完全に書き写した(コピーした)文書のことです。代表例が「戸籍謄本(全部事項証明書)」や「登記簿謄本(登記事項証明書)」です。原本は役所のサーバーや書庫に厳重保管されているため、外部には原本そのものではなく、内容が完全に同一であることを証明した謄本が交付されます。
原本と抄本の違い:
抄本とは、原本の「内容の一部」を抜粋して作成した文書です。「戸籍抄本(個人事項証明書)」のように、家族全員ではなく特定個人の身分事項のみが必要な場合に発行されます。全部を写す謄本と、一部を抜粋する抄本という対比になります。
原本と写しの違い:
写し(コピー)は、単に原本を複写機などで複製しただけのものです。公的な認証や署名押印がない限り、原則として独立した法的証拠力は認められず、裁判所や公的機関の手続きでは「原本そのもの」の提示または後述する「原本証明」が求められます。