観光地ではないにもかかわらず、なぜこれほどまでに「やまんばの庭」は見どころとして語り継がれるのでしょうか。その理由は、西洋風の整形式庭園や過度な造園技術とは対照的な、「自然の生態系と調和した山野草ガーデニング」の圧倒的な完成度にあります。
記録されている庭の四季は、日本の自然の移ろいそのものです。春先には雪解けとともにフクジュソウやセツブンソウが顔を出し、枝垂れ梅が山肌に淡い色を添えます。続いてハナカイドウやみやび桜が咲き乱れ、初夏にはシラネアオイやキラリと光るギボウシの葉陰、秋には楚々としたシュウメイギクやリンドウが庭石を彩ります。自生するコケや野石をそのまま生かし、人工物を極力排した景観設計は、プロのランドスケープデザイナーからも高い評価を受ける水準です。
ブログ読者コミュニティに残された声は、その影響力の大きさを雄弁に物語っています。2014年8月、過去の一時休止から復帰された際、同年代のブロガー仲間は自身のWeb手記「小さな棲家」において次のように歓喜の言葉を書き残しました。
「『おかえりなさい!』ずっと、ずっと待っていました。ブログを始めて、恐々書いて、初めてあたたかなコメントをいただいた……」
単なる綺麗な写真の羅列ではなく、草むしりの腰の痛み、天候との闘い、里山で独り土と向き合う実直な語り口が、同世代のシニア層や都会の喧騒に疲れた現代人の心に深く染み渡っていたことが窺えます。