1967年7月3日、実験局であったFM東海の電波に乗って産声をあげた『JET STREAM』は、2026年で放送開始から59年目という驚異的な航海を続けています。現在の基本放送枠は毎週月曜から金曜の深夜24:00〜24:55(翌日午前0:00〜0:55)。深夜の入り口にあたるこの55分間、リスナーは日常の雑踏から切り離され、イマジネーションの翼で世界各地を巡る「疑似フライト」へと誘われます。
番組開始当初からの象徴といえば、日本航空(JAL)による単独提供です。かつて海外渡航が夢のまた夢だった高度経済成長期において、深夜のFMから流れる異国の情景と洗練されたイージーリスニングは、若者やビジネスパーソンにとって世界への唯一無二の窓口でした。長年にわたるJAL提供の歴史は、単なる一企業のスポンサードを超え、「旅の情緒と安心感を届ける文化インフラ」としてブランドと番組の双璧を強固なものにしていきました。
2026年のメディア環境を見渡すと、タイパ至上主義や倍速視聴が浸透する一方で、「無駄のない情報過多」に疲弊した層によるラジオ回帰現象が顕著です。深夜の静謐な時間をあえてそのまま受け止めるという贅沢が、若い世代にとっても再評価されている事実は、この番組が持つ普遍的な価値を物語っています。