新車が届かないという現実は、二次市場である中古車マーケットにも激震をもたらしました。2022年に起きた中古車相場高騰の真相は、供給制約とパニック的な実需が引き起こした「新車・中古車の価格逆転現象」にあります。
象徴的だったのが、前述のランドクルーザー300です。新車価格はおよそ510万〜800万円(ZX・GR SPORT等の上位帯)でしたが、オートオークションの落札相場では1,500万円から一時2,000万円を超える異常値がつきました。スズキ・ジムニーやレクサスNX、トヨタ・ハリアーでも「新車本体価格+数十万円〜数百万円」のプレミアム相場で取引される事例が中古車販売サイトで散見されました。
この現象を後押ししたのが、行動経済学で言うところの「希少性の罠(Scarcity Mindset)」と「FOMO(Fear Of Missing Out:取り残される恐怖)」です。「今買わなければ数年間手に入らないかもしれない」「注文すら受け付けてもらえなくなる」という心理的飢餓感が消費者を衝動的な購買行動へと走らせました。さらに「即納できる未使用車なら新車より高くても買う」という法人需要や、海外輸出需要を狙った転売ヤーの投機マネーが流入したことで、市場の歪みは極限まで加速しました。
しかし、こうしたバブル的な相場は長続きしませんでした。供給網の回復に伴って中古車バブルは徐々に沈静化し、ピーク時にプレミア価格で購入した層が、後の売却査定で大幅な下落に直面するという手痛い代償を払うことになったのです。