舞台を南米に移すと、アマゾンの先住民族の暮らしの中にも独特の自然信仰に基づいた少女たちの通過儀礼が存在します。ブラジルとベネズエラの国境付近に住むヤノマミ族では、少女が初潮を迎えると集落の一角に植物の葉で作られた小さな小屋に数週間隔離され、長老の女性たちから薬草の知識や出産の心得を徹底的に叩き込まれます。
外光を遮断された孤独な空間で過ごす時間は、子どもから大人への精神的な変容を促す神聖な儀式です。外界と接触を絶つことで悪霊から身を守り、共同体を支える母としての生命力を宿すと信じられています。
また、東南アジア山岳地帯に暮らすミャンマーのカヤン族(通称・首長族)の少女たちは、幼少期から真鍮のリングを首に巻き重ねていきます。首が長く見えることこそが美の極致であり、外敵から急所を守る神話的な意味合いも併せ持ちます。これらの風習はすべて、厳しい自然環境や他部族との衝突を生き抜くために培われた知恵とアイデンティティの結晶です。