「漆器はハレの日の高級品」という固定観念を打ち破り、日常の道具として漆の心地よさを再定義したのが、輪島キリモトの8代目代表・桐本泰一氏です。大学でプロダクトデザインを学んだ後、家業である木地作りの現場へ飛び込んだ桐本氏は、木という素材の個性と漆の親和性を誰よりも熟知した作り手として知られています。
輪島キリモトの最大の強みは、木を加工する「木地づくり」から下地、上塗りまでを一貫してデザイン・プロデュースできる点にあります。特に地元・能登で自生するあすなろの木 漆器(ヒバ)の活用は、キリモトの代名詞です。耐水性・耐腐食性に優れ、清々しい香りと細やかな木目を持つあすなろ材を丁寧に乾燥・加工し、漆を何度も染み込ませることで、軽さと堅牢さを兼ね備えたうつわが誕生します。
「使うほどに色艶が増し、手にしっとりと馴染む感触こそが漆本来の魅力」と桐本代表がメディアの取材で語る通り、単なる鑑賞物ではなく、365日使い続けられる生活道具としての哲学が、多くの生活者を惹きつけてやみません。