阿部慎之助と阿部めぐみ夫人が人生の伴侶となったのは2006年のことだ。当時、読売ジャイアンツの正捕手として不動の地位を築きつつあった彼は、グラウンド内外で押し寄せる激しい重圧と対峙していた。そんな張り詰めた日々のなかで出会ったのが、当時ファッションモデルとして活躍していた彼女だった。
派手な交友関係やメディアへの露出を好むタイプではなく、めぐみ夫人は常に一歩引いた立ち位置から彼を見つめていた。知人の紹介で巡り合った二人は、飾らない会話を通じて急速に距離を縮めていく。プロ野球の世界で生きる捕手というポジションは、誰よりも観察眼に長けている。グラウンドで投手の繊細な心理を読み解いてきた彼が、彼女の持つ嘘のない実直さに惹かれたのはごく自然な流れだった。
結婚当初から、夫人は決して前に出ようとはしなかった。球界屈指のスター選手の伴侶でありながら、SNSで私生活を誇示することもなく、ひたすら家庭という聖域を守り抜く姿勢を崩さない。この徹底した黒子としての美学こそが、阿部慎之助という不世出の野球人をグラウンドに集中させてきた最大の要因である。