ネット上の知恵袋やSNSの投稿を検証すると、一周忌の香典をめぐっては親族間での価値観の相違から生じるトラブルが頻発しています。大手仏事相談窓口に寄せられる実例からも、時代とともに変化する法事のあり方に対する戸惑いが見て取れます。
代表的な事例が、「案内状に『御供物料・ご香典の儀は固くご辞退申し上げます』と書かれていた場合の対応」です。知恵袋などでは、「辞退と書かれていたので手ぶらで参列したら、他の親族は全員香典を持参していて非常に気まずい思いをした」という悲痛な声が散見されます。
大手葬儀社で15年以上の現場経験を持つシニアディレクターは、こうした事態の背景について次のように証言します。
「施主様が高齢であったり、後日の香典返しの手配を負担に感じて香典辞退を明記されるケースが年々増えています。しかし、地方の慣習や年配の親族間では『形ばかりの辞退であって、受け取るのが礼儀』と考える方が依然として多いのが実情です。もし不安であれば、事前に他の参列予定の親族や施主の意図を直接確認するのが最も確実です。完全に辞退の意思が固い場合は、無理に現金を押し通すのではなく、3,000円〜5,000円程度の消費しやすい菓子折りや線香を『御供』として持参するのが最もトラブルの少ない落としどころとなります」
また、スマートフォンの普及により受付で現金をスマートフォンから取り出して香典袋に入れようとしたり、袱紗(ふくさ)を使わずにバッグから直接裸の香典袋を取り出して渡してしまったりする参列者も目立ちます。香典袋は必ず紫や紺などの寒色系の袱紗に包んで持参し、受付の直前で取り出して相手から見て名前が読める向きに反転させて手渡すという一連の所作を保つことが、現場での品格を守る鍵となります。