1970年代に入ると、ラジオは家族のものから「個人の冒険」へと姿を変える。小中学生や若者を中心に爆発的な広がりを見せた「BCL」(Broadcasting Listening:海外短波放送の受信趣味)の時代だ。
夜の帳が下りる頃、自室にこもり、何本ものアンテナ線を工夫しながら周波数のダイヤルを極ミリ単位で操作する。雑音の合間からロンドン、モスクワ、エクアドルなど、遥か海の向こうの異国の声が聴こえてきたときの震えるような感動。放送局へ受信報告書を送り、返礼として届く色鮮やかな「ベリカード(受信確認証)」を集めることは、当時の少年たちにとって最高のステータスだった。この体験は、現在も多くのシニア愛好家の心に消えない火として残り続けている。