過酷な登りを乗り越えた者だけが味わえる御殿場ルート最大のハイライトが、下山専用ルートにある「大砂走り(おおすなばしり)」です。七合目付近から新五合目の手前まで続く広大な火山灰の斜面を、かかとから柔らかい砂に沈めながら一歩で数メートル跳ぶように駆け下りる体験は、他ルートでは味わえない爽快感を誇ります。
しかし、この大砂走りには重大な罠が潜んでいます。スピードが出すぎるあまり転倒して岩に激突する骨折事故や、ブレーキが利かずに膝・足首を痛める登山者が後を絶ちません。さらに、以下の点に対する事前の装備・準備が不可欠です。
- 砂の侵入を防ぐショートスパッツ(ゲイター):靴の中に細かな溶岩砂が入ると強い痛みを引き起こし、歩行困難に陥ります。
- 防塵用マスク・サングラス:前走者が巻き上げる濃密な砂埃により視界が奪われ、呼吸器官を痛めるため必須です。
- 濃霧・夜間時の道迷い対策:大砂走りは広大で見通しが利かないため、濃霧や日没時には目印のポールを見失いやすく、自衛隊演習場側へ迷い込む遭難事故が報告されています。ヘッドランプとGPS地図アプリの携行は絶対条件です。