大手旅行予約サイトのレビューやSNSの投稿を分析すると、「薄手の春アウターで行ったら震えが止まらなかった」「夜の散策を諦めてホテルに籠もった」という後悔の声が毎年数多く寄せられています。報道機関の気象情報や現地自治体の観測データを検証すると、この落とし穴の原因は「日中と朝晩の劇的な寒暖差」にあります。
札幌市を例にとると、5月の平均気温は約12℃〜13℃程度。日中は日差しがあれば18℃前後まで上がり、穏やかな春の陽気を感じられますが、日が傾いた瞬間に気温は急降下し、夜間や早朝には5℃〜8℃近くまで冷え込みます。これは東京の真冬から早春(2月下旬から3月上旬)の気温とほぼ同等です。さらに、釧路や網走などの道東・オホーツク海沿岸エリアでは、5月であっても最高気温が10℃前後に届かない日があり、オホーツク海高気圧から吹き込む冷たい北東風によって体感温度は氷点下近くまで奪われます。
「日中の暖かさ」だけを天気予報で確認し、スプリングコートや薄手のカーディガン、素足にサンダルといった装いで訪れた旅行者が「寒すぎて楽しめなかった」と証言するのは、極めて自然な結果と言えます。5月の北海道は「初夏」ではなく、「春の足音がようやく届いた晩冬の延長」として捉え、万全の体温調節を整えることが旅の満足度を左右する絶対条件です。