焼肉店でカルビやロースと並んで注文されるサガリとハラミですが、生物学的な位置づけは肋骨の内側にある横隔膜の部位です。赤身肉のような深い赤色をしている理由は、呼吸のために常に動き続ける筋肉であり、酸素を運ぶ色素タンパク質「ミオグロビン」が極めて豊富に含まれているためです。
見た目も食感も上質な赤身肉そのものですが、農林水産省の食肉公正競争規約や流通規格において、横隔膜は消化器官などと同じ「内臓肉(ホルモン)」として区分されています。これには枝肉(骨付きの肉)から内臓を摘出する解体工程上の分類ルールが関係しており、法的な定義として内臓肉に属しているのが真相です。
両者の決定的な差異は、肋骨側と背中側の位置の違いにあります。横隔膜のうち、背中側(肋骨の背部)に広がる筋肉の薄い板状部分が「ハラミ」と呼ばれます。一方で、肋骨側(腰椎側)から下垂している厚みのある筋肉塊が「サガリ」です。名前の由来も「ぶら下がっている部位」からサガリと名付けられました。
また、1頭から取れる希少部位としての希少性にも差があります。体重約700kg〜800kgの成牛1頭から、ハラミは約2kg〜3kgほど取れるのに対し、サガリはわずか1kg前後しか取れません。そのため、精肉店やスーパーの店頭ではハラミ以上にサガリを見かける機会が限られています。