鉄筋のかぶり厚さはなぜ重要?1ミリの不足が招く建物の寿命危機

鉄筋のかぶり厚さはなぜ重要?1ミリの不足が招く建物の寿命危機

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現場取材を通じて浮かび上がるのは、悪意による手抜き工事ではなく、「時間的制約」と「職人の思い込み」が生み出す構造的な歪みです。

都内のRC構造現場を統括するベテラン現場代理人は、手記の中でこう述べています。「型枠を締め固めるボルト(セパレーター)を締め込んだ際、壁配筋が外側に引っ張られ、反対側のかぶりが消滅してしまう事象が後を絶たない。打設直前のかぶり確認を怠れば、生コンクリートが入った瞬間に不可視の欠陥となる」。

こうした事態を防ぐための生命線が、鉄筋と型枠の距離を物理的に固定するスペーサー配置基準の厳格な遵守です。

  • 基礎・スラブ(床):縦横とも1メートル程度の間隔(1平方メートルあたり1個〜1.5個)でモルタル製やコンクリート製のスペーサーブロックを配置する。
  • 壁・柱・梁(垂直部):プラスチック製のドーナツ型スペーサー等を、梁端部から500ミリ以内、中間部はおよそ1メートル間隔で規則的に噛ませる。

外壁面や土に接する部分にプラスチック製スペーサーを使用すると、コンクリートとの熱膨張率の違いから隙間が生じ、将来の漏水ルートやサビの起点となる危険性があります。適材適所のスペーサー選定を怠る現場は、管理能力の低さを露呈していると言わざるを得ません。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。