移転交渉の決裂を受け、事態は司法の場へ持ち込まれた。一連のオークラ本館建替・立ち退き訴訟において、店主側は「地位の低下やブランド毀損」を理由に損害賠償を命じる訴えを東京地方裁判所に提起する。名門ホテル内の店舗位置を巡って損害賠償が争われるという異例の展開は、経済・司法ニュースとして大きな注目を集めた。
裁判で焦点となったのは、テナントとしての契約上の権利と、ビル所有者であるホテル側の再開発に伴う配置裁量権の限界だ。原告側は、半世紀以上に及ぶ歴史的貢献と格式を主張したが、東京地方裁判所の判断は厳粛なものだった。
裁判所は、ホテルの建築計画や全体構造の刷新におけるホテル側の裁量を一定程度認め、請求を棄却する判決を下した。司法の判断としては、個別のブランド格維持よりも、施設全体の再開発に伴う合理的判断を優先した形となったが、この判決は商業不動産の賃貸借における歴史的店舗の保護のあり方に一石を投じる結果となった。