治安の実情を客観的に評価する上で、国連薬物・犯罪事務所(UNODC)が収集・公開している犯罪統計データも極めて重要な一次ソースとなる。UNODCのデータを分析すると、殺傷などの凶悪犯罪発生率が低い国であっても、スリや置き引き、侵入盗といった財産犯の発生率が驚くほど高い国が少なくないことが浮き彫りになる。
特にヨーロッパを中心とする主要都市では、地下鉄内や観光地周辺でのグループによる集団スリが組織化されており、日本人のような警戒心の薄い旅行者が集中的に標的にされる傾向が強い。凶悪犯罪が少ないからといって安全だと錯覚すると、パスポートやクレジットカードを失い、旅先で深刻な事態に直面することになる。UNODCのデータが突きつけるリアルな数字は、私たちが抱く安全基準のアップデートを迫っている。