高校サッカー熱が高まるにつれて、インターネット上で定期的に発生するのが戦術やレフェリングを巡る「炎上」現象です。特に東京都予選のような注目度の高い試合では、動画クリップが切り取られて拡散され、数百万回再生とともに猛烈な批判を浴びる事例が相次いでいます。
その筆頭が「ロングスロー論争」と「時間稼ぎへの是非」です。敵陣深くのスローインからゴール前へロングスローを投げ込み、フィジカル勝負に持ち込む戦術や、リードしたチームがコーナーフラッグ付近でボールをキープする行為に対して、SNS上では「これが育成年代のサッカーなのか」「美しくない」「高校生らしくない」といった批判が殺到し、しばしば炎上状態へと発展します。
しかし、現場を知る指導者はこうした外野の声に真っ向から反論します。「ルールに則った正当な勝利への執念であり、選手たちの人生がかかっている大舞台で、観客が喜ぶエンタメ性を優先しろというのは無責任な押し付けだ」という見解です。
さらに深刻なのは、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が導入されていない高校年代予選における誤審疑惑の炎上です。一瞬のオフサイド見逃しやPK判定のジャッジがスマートフォンでスロー再生され、審判個人への人格攻撃にまで発展するケースが報告されています。日本サッカー協会(JFA)の通達でもリスペクト精神の徹底が叫ばれていますが、ネット空間の無秩序な正義感が高校スポーツの健全な運営を阻害している点は、現代のスポーツメディアが抱える最も重い病巣といえます。