チャンジャの主原料となる魚は、北太平洋や日本海などの寒冷な海域に生息するタラ科の魚(主にマダラやスケトウダラ)です。日本国内の飲食店やスーパーで流通しているものの多くは、スケトウダラ(介党鱈)の胃袋や腸などの内臓肉を丁寧に下処理して作られています。
あの軟骨やホルモンを思わせる力強いコリコリ食感の秘密は、タラの胃袋(胃壁)の構造にあります。タラは海底付近で小魚や甲殻類を丸呑みにして消化するため、胃壁の筋肉層が非常に強靭に発達しています。この強靭な筋肉組織を塩漬けにし、熟成させることで、噛むほどに旨味がにじみ出る独特のテクスチャーが生まれるのです。
韓国珍味としての起源「チャンナンジョッ」の系譜
チャンジャのルーツは、韓国の伝統的な塩辛・発酵食品である「チャンナンジョッ(창란젓)」にあります。「チャンナン」はスケトウダラの胃や腸の内臓を指し、「ジョッ(またはジョッカル)」は魚介類の塩辛を意味します。朝鮮半島では古くから、漁獲された魚を頭から内臓まで余すところなく活用する「完全利用」の食文化が根付いており、厳しい冬を越すための貴重な保存食・タンパク源として重宝されてきました。
日本においては、昭和中期の焼肉店文化の普及や在日コリアンコミュニティを通じて広まり、呼びやすい「チャンジャ」という通称で大衆居酒屋の定番メニューへと定着していった経緯があります。現在では単なる塩辛の枠を超え、日本人の味覚に合わせた出汁やみりんをブレンドした製品も多数開発されています。