ネット上の掲示板やSNSでは「リトラクタブルヘッドライトは法律で一律禁止されたため、二度と作れない」という言説が散見されますが、これは正確ではありません。
現在の法規制を精査すると、道路運送車両法や各国の型式認定基準において「開閉式前照灯そのものを禁止する」という条文は一切存在しません。現在でも保安基準を満たせば、法規上はリトラクタブル構造の車を製造・登録すること自体は理論上可能です。
ではなぜ作られないのか。その理由は「基準クリアにかかるコストと重量増が、商品性に見合わないから」に他なりません。現代の厳しい歩行者保護基準に適合させるためには、歩行者衝突時にミリ秒単位でライトを強制格納・脱落させる火薬式ポップアップフード機構や、衝突衝撃を検知する高度なセンサー群を組み込む必要があります。これらを導入するとフロントノーズの重量が数十kg単位で増加し、車両価格も跳ね上がってしまうため、メーカーとして市販化に踏み切る合理的理由が存在しないというのが業界の偽らざる実情です。