松助の活躍の場は、歌舞伎の殿堂だけにとどまらなかった。国立劇場における復活狂言の試みでは、埋もれた古典演目の再解釈に果敢に挑み、劇界の発展に大きく寄与した。妥協を許さない役作りは、舞台の外でも強烈な光を放つ。
テレビの黄金期を彩った時代劇やNHKの大河ドラマにおいても、松助は欠かせない名バイプレイヤーとして茶の間を魅了した。重厚な武将から狡猾な町人までを変幻自在に演じ分け、わずか数分の出演シーンでも視聴者の記憶に爪痕を残す。舞台仕込みの正確な口跡と鋭い眼光は、映像の世界でも唯一無二のスパイスとして監督陣から重宝された。