動物園や図鑑で見かける機会が多いものの、一般層の間で混同されやすいのが「ラクダ」と「ラマ」の差異です。どちらも同じラクダ科(Camelidae)に属する近縁種ですが、進化の道筋と適応環境の違いにより、形態・生態には明確なコントラストが存在します。
最大の違いは外見的な特徴である「背中のコブ」の有無です。砂漠地帯を生き抜くラクダ(ヒトコブラクダおよびフタコブラクダ)は、エネルギー源となる脂肪をコブに蓄積することで、灼熱の乾燥地帯における長期間の絶食・絶水に耐えうる生理機能を獲得しました。対して、南米アンデス山脈の標高数千メートルの高地に適応したラマ(原種はグアナコ)には、背中のコブが一切存在しません。その代わり、薄い空気に適応するため赤血球数が極めて多く、酸素運搬能力に優れた血液組成を持っています。
体格面でも決定的な開きがあります。成体のラクダが体高2メートル前後、体重400〜600kgに達する大型重量級であるのに対し、ラマは肩高約1.2メートル、体重130〜155kg程度と、成人男性の1.5〜2倍ほどの小柄なプロポーションです。顔つきにも差異があり、ラマは耳が細長くバナナのように緩やかに湾曲しているのが特徴的です。なお、両種ともに強いストレスや威嚇の際には、胃の中で未消化の発酵物を強烈な悪臭を放つ唾液とともに吹きかける習性があるため、接近時の観察には十分な警戒が求められます。