日常用語としての「浮気」と、法律問題として扱われる「不倫」は、適用されるルールの次元が根本から異なります。浮気とは個人の主観やモラルに基づく概念であり、特定のパートナーがいるにもかかわらず他の異性に心を奪われたり、親密に接したりする行為全般を指します。一方、不倫は法律上の概念である不貞行為(配偶者のある者が、自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと)に直結するものです。
もっとも大きな分水嶺となるのが既婚者と独身の違いです。独身同士のカップルにおいて、どれほど悪質に二股をかけられたとしても、法的には婚姻関係や内縁関係のような「守るべき法的保護に値する婚姻共同生活の平和」が存在しません。そのため、道義的な非難は免れないものの、原則として法律上の違法行為には問われません。
法的な紛争において核心となるのは、常に肉体関係の有無です。民法第770条第1項第1号において法定離婚事由として定められている「不貞な行為」とは、判例上、基本的に性交渉またはそれに準ずる性交類似行為を意味します。プラトニックな好意のやり取りや2人きりの外食は、倫理的には浮気とみなされても、客観的な不貞行為の定義には該当しません。
既婚者が配偶者以外の異性と肉体関係を持った場合、配偶者が有する「婚姻共同生活の平穏を維持する権利」を侵害したとみなされ、民法709条に基づく不法行為が成立します。配偶者と浮気相手の双方が連帯して責任を負う共同不法行為となり、被害を受けた配偶者は双方に対して精神的苦痛への損害賠償請求(慰謝料請求)を行う権利を獲得します。