市販されている「紅はるか」などの高級干し芋が持つ独特のキャラメルのようなねっとり感は、単に芋を干しただけで生まれるものではありません。その鍵は、さつまいもに含まれるデンプンが糖化酵素「β-アミラーゼ」によって麦芽糖(マルトース)へと分解される化学反応にあります。
β-アミラーゼが最も活発に働く温度帯は65℃〜75℃です。一般的な電子レンジの強モード(600Wや500W)で一気に加熱すると、芋の内部温度は数分で80℃〜90℃を突破してしまい、酵素が働く前に熱失活を起こします。その結果、甘みが十分に生成されず、水分だけが急激に抜けてパサパサとした食感に仕上がってしまいます。
電子レンジを使った干し芋作りでねっとり感を極限まで引き出す裏ワザは、出力設定を200W(解凍モード)に落とし、時間をかけて内部温度をじっくり上昇させる工程にあります。さつまいも1本(約250g)に対して濡らしたキッチンペーパーとラップを二重に巻き、まずは600Wで1分30秒加熱して全体をぬるく温めた後、すぐに200Wへ切り替えて12分〜15分ほど加熱を続けます。竹串が抵抗なくスーッと通る状態まで持っていくことで、蒸し器で1時間じっくり蒸し上げた状態と同等以上の糖度を引き出すことが可能です。