「扇風機はエアコンの100倍安い」「夏はエアコンを消して扇風機だけで乗り切る」といった言説がネット上で見受けられますが、これには大きな誤解と危険な罠が潜んでいます。
実態として、一般的な6〜8畳用エアコン(冷房定格消費電力500W前後、安定時100W〜200W)の電気代は1時間あたり約3円〜15円です。外気温35℃以上の猛暑日における稼働初期は1時間あたり20円〜30円近く消費することもあります。
これに対し、扇風機は1時間あたり約0.1円〜1.3円ですから、コスト差は確かに約5倍〜30倍に達します。しかし、「安さ」だけを理由に真夏の室温30℃を超える環境で扇風機のみで過ごす行為は、医学的・安全管理の観点から推奨されません。
扇風機は部屋の空気を冷やす機械ではなく、「気化熱によって人間の体感温度を下げる機械」です。室温が体温(36℃〜37℃)に近づくと、扇風機から送られる風は「熱風」となり、汗が蒸発しても体温が下がらなくなります。結果として脱水症状や室内熱中症を引き起こし、救急搬送されるケースが毎年多発しています。
「電気代数十円を惜しんで体調を崩し、高額な医療費がかかる」という本末転倒な事態を防ぐためにも、扇風機単体での無理な節電は避けなければなりません。