乳児ボツリヌス症の診断を難しくさせている最大の要因は、ボツリヌス菌の潜伏期間が数日から約30日(一般的には3日〜3週間程度)と極めて長い点にあります。食べた直後にアレルギーのような蕁麻疹やアナフィラキシーが出るわけではなく、体内で菌が時間をかけて徐々に増殖・毒素を放出するため、発症した時点では「いつ何を食べたか」の記憶が薄れているケースが珍しくありません。
親や保育者が絶対に知っておくべき乳児ボツリヌス症の初期症状は、以下の兆候です。
最も典型的な初期サインは、「3日以上続く頑固な便秘」です。これまで順調に排便のあった赤ちゃんが急に出なくなり、お腹が張る状態が続きます。続いて、神経麻痺による運動機能の低下が現れます。母乳やミルクを吸う力が目に見えて弱まる「哺乳力低下」、泣き声がかすれて力が入らなくなる症状、表情が乏しくなる現象が確認されます。
さらに進行すると、首のすわりがぐらつく、手足がだらりと脱力する「フロッピーインファント(筋緊張低下)」の状態に陥ります。筋肉の弛緩が横隔膜などの呼吸筋にまで及ぶと、呼吸不全を引き起こします。赤ちゃんの全身の活気が突然失われたときは、即座に小児科専門医や救急医療機関の受診が必要です。