外交・安全保障分野において、二人が残した爪痕はとりわけ深い。冷戦初期における日米安保条約の改定は、日本の安全保障政策の骨格を形作った。それから約半世紀後、ワシントンとのパイプを再構築し、「自由で開かれたインド太平洋」構想を掲げて国際社会の主導権を握ろうとした試みは、かつての外交路線の現代的再解釈であった。
米国の対アジア戦略の変遷に寄り添いながらも、自主的な防衛力の強化を暗に押し進める計算高さ。対米従属と自主独立という相反するベクトルの間で攻防を繰り広げた姿勢は、現在の日本国政府が直面する地政学的リスクへの対応にも色濃く映し出されている。対中国、対ロシアとの緊迫する外交戦において、彼らの残したレガシーは今もなお評価が二分している。