大正時代に起きた惨劇「三毛別羆事件」は、人間とクマの衝突が及ぼす凄惨な被害を後世に語り継ぐ象徴的出来事だ。ヒグマ研究の第一人者である門崎允昭氏は、単なる駆除の拡大ではなく、野生動物が人間を恐れる適切な「境界」を再構築することの不可欠さを長年指摘してきた。
むやみな全頭駆除が生態系や食物連鎖のバランスを壊し、逆に空いたテリトリーへ若く血気盛んな個体が流入する悪循環を生む危険性も示唆されている。人間に対する警戒心を失った個体を選別して防除しつつ、奥山の豊かな自然環境を保全する、極めて繊細なコントロールが求められている。