耳垢が湿っている人と乾燥している人が存在する理由は、単なる生活習慣や体調の差ではありません。近年の分子遺伝学の研究により、16番染色体に存在する「ABCC11遺伝子」の配列の違いが決定要因であることが完全に解明されています。
耳の中(外耳道)には、皮脂腺のほかに「アポクリン汗腺」の一種である耳垢腺が存在します。ABCC11遺伝子の特定の塩基が「G(グアニン)」である人は、アポクリン汗腺からの分泌物が活発になり、分泌液・皮脂・古い角質が混ざり合ってねっとりとしたキャラメル状の湿性耳垢が形成されます。
一方、塩基が「A(アデニン)」に変異している人は、アポクリン汗腺の機能が抑えられているため、カサカサとした乾燥耳垢になります。遺伝の形式としては湿性(G)が優性(顕性)、乾性(A)が劣性(潜性)であるため、両親のどちらか一方からでも湿性の遺伝子を受け継ぐと、子どもは湿性耳垢になりやすい特徴を持ちます。