本作のクオリティを支えているのは、間違いなく豪華かつ異色のクリエイター陣とキャストの化学反応だ。名作の数々で人間の機微を描き続けてきた坂元裕二による脚本は、日常の会話の中に鋭い洞察と優しさを同居させる。台詞の間や、敢えて言葉にされない沈黙の中にこそ、登場人物の感情が溢れ出している。
そこに独自の世界観を注入するのが、劇団ひとりの緻密な演出と、リリー・フランキーが醸し出す圧倒的な存在感だ。絶妙な間合いで繰り出されるやり取りは、一歩間違えればコミカルなコントになりかねない場面を、重厚なヒューマンドラマへと昇華させる。笑いと切なさが表裏一体となったコメディドラマの真骨頂がここにある。