本作の核心に迫る最大の焦点、それこそが「題名に込められた真実」だ。タイトルの語感が持つ優しげな響きとは裏腹に、物語の後半で明かされる展開は観客の予測をあざ笑うかのように覆す。
是枝裕和監督が得意とする家族や人間関係の緻密な描写――すなわち濃密なヒューマンドラマの皮を被りながら、物語は中盤以降、疾走感あふれる心理サスペンス映画へと変貌を遂げる。取材に応じた脚本協力者はこう明かした。「誰もが知る『日常』が、ほんのわずかな掛け違いによって『非日常の惨劇』へと変貌する過程を描いている。観客はスクリーンに映る人物の誰を信じるべきか、最後まで判断を狂わされることになるだろう」。この二面性こそが、本作が隠し持つ最も衝撃的な真実なのだ。